ロンドンに本拠を置くデータ分析コンサル「GlobalData PLC」は、ヒューマノイド型を含めたロボティクス市場が2030年には 30 兆円規模になると予想している。かのイーロン・マスク氏も、遠くない未来、ロボットの台数が世界の総人口を上回ると予測、この分野の成長は「既定路線」と言っていい。
そんな中、2020年には『ニューヨークタイムス』紙に、2022年にはCES(世界家電見本市)に出展し、CEOのインタビューが『TIME』誌に掲載されるなど、日本よりむしろ世界で知名度を高めている企業がある。小野泰助氏が率いる「ドーナツロボティクス」だ。


2014年に福岡県北九州市のガレージで創業した同社が一躍有名になったのが、コロナ禍のタイミングで世に出した世界初のスマートフォン連携スマートマスク「C-FACE」の成功だった。マスクを着用すると話した言葉がリアルタイムでスマートフォンのアプリに文字起こしされたり、8カ国語に翻訳されたり……といった画期的な製品で、「テクノロジーで世界規模の災害をチャンスに変えた」と高く評価された。
その後、同社はコミュニケーションが可能なロボットの開発に注力、接客・案内ロボット「cinnamon(シナモン)」を開発する。

生成AIを搭載し、商業施設や店舗で自然な対話による案内や商品説明、巡回警備などを行う。例えばホームセンターで、家電量販店で、書店で、スーパーで、cinnamonに「○○はどこにある?」と質問すれば案内してくれる。もちろん世界中の言語に対応、人手不足やインバウンド対応に悩む企業に向け販売するが、機能はそれだけではない。
「日本だけでなく各国で、様々な店舗が万引きの被害に苦しんでいます。cinnamonはAIカメラを搭載しており、例えば商品をカバンに入れる、長時間不自然に商品を隠し持つ、周囲を過度に警戒するなど万引きに繋がりやすい特有の行動パターンをリアルタイムで分析・検知し『何かお困りですか?』といった声かけや、状況に応じた警告を行います」(小野氏)

小野氏が目指すのは、単なる便利な機械としてのロボットが普及した世界ではない。高性能AIを搭載したロボットが人間の良きパートナーとして社会に溶け込み、人口減少や人手不足といった深刻な社会課題を解決し、人々の幸福度を高める未来だ。
「今後は店舗の販売員不足だけでなく、ロボットが「自ら稼ぐ」店員として機能し、経済活動を支える、もしくは介護現場の負担を軽減する、といった未来を築いていきます。将来は一家に一台ロボットが普及し、街に出ればロボットがコーヒーを淹れ、空港では荷物を運びながら案内してくれる。そんな社会を目指していきます」


