エムズコミュニケイト:【法人向け】共通ポイント依存からの脱却。LTVを最大化する「顧客エンゲージメント」再設計の極意

小売店からインフラ、B2B企業まで、今やあらゆる業界のインフラとなった「ポイントサービス」。しかし多くの企業が、原資コストによる利益の圧迫や、慢性的なファン不足に直面しているのが現状だ。今回紹介するのは、国内唯一のポイントサービス・ロイヤルティプログラムに特化したコンサルティングを行う「株式会社エムズコミュニケイト」の岡田祐子社長。彼女に、共通ポイント(dポイント、楽天ポイント等)への依存を脱し、自社独自の顧客戦略(CRM)を確立するための急所を聞いた。

目次

ポイントの慢性的な「2倍キャンペーン」が利益を食い潰す

家電量販店、スーパー、ドラッグストア、さらには電気・ガス・鉄道等のインフラからBtoB(企業間取引)の領域にまで広がる「ポイントサービス」。しかしエムズコミュニケイトの岡田祐子社長はこう話す。

「多くの企業が、ポイントサービスを活用しきれていません。例えば、慢性的な『ポイント2倍キャンペーン』などによるコストのかけすぎです 。導入当初は集客効果があっても、10年、20年と続けるうちに顧客はそれに慣れ、『2倍デーの時だけ計画的に来店してまとめ買いをする』という行動パターンが定着し、企業側は無駄に原資コストを削り続けることになってしまいます」

近年、楽天ポイントやdポイントといった「共通ポイント」を導入する企業も増えている。しかし岡田氏は、共通ポイントの導入だけでは、自社の顧客ロイヤルティを高めることは難しいと語る。

「主要な共通ポイントは現在、『(元締めの大企業が)決済の総額をいかに上げるか』というフェーズに入っています 。お客様は既に『このポイントが貯まるからこのお店に行こう』と選ぶのでなく『ポイントはたまって当然』と感じる段階にシフトしつつあります。だからこそ、ある程度の顧客基盤を持つ企業は、自社独自のポイントサービスを構築するか見直すかして、お客様との関係構築を再設計する時期に来ています」 

では、企業はどうすべきなのか? 岡田社長が急所を突く。

「お客様は決してお得感だけで企業と繋がっているわけではありません。ファンとして定着する『スイッチ』がどこかにあります。なのにいつまでも金銭的な還元(インセンティブ)ばかりを提供していては、真の顧客エンゲージメント(企業と顧客の強い絆)は育ちません」

株式会社エムズコミュニケイト 代表取締役社長・岡田祐子氏。声にハリがある元気な女性、という印象。
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【事例】B2Bこそポイントが効く。FAX注文をデジタル化し、需要予測を可能にした「手法」

岡田氏の経歴はユニークだ。1992年、新卒で大日本印刷に入社、ポイントカードの企画部門に配属された。当時、カードは紙やプラスチック製が主流で、印刷会社にとってポイントカードはあくまで「印刷物の発注が来れば成功」という程度の認識だった。

しかし、岡田氏は違和感を抱いた。どうも、多くの企業が顧客視点でポイントを設計する意識に欠けていると感じたのだ。そんなある日――。

「顧客との会議で、先方の役員が『他社と横並びでいいよ』と仰ったのです。私は恐る恐るですが『このサービス、(役員の)奥様は入会されますか?』と聞いてしまいました。するとその方は苦笑しながら『妻はシビアだから入会しないだろう』と言ってくれ、そこから議論が活発になったんです」

2003年、岡田氏は社内ベンチャー制度を利用してエムズコミュニケイトを起業。独自の意識調査から生活者を「7つのタイプ」に分類するなど、データに基づきポイントを事業戦略に結び付けるアドバイスを行うようになった。岡田氏によれば、B2B(企業間取引)こそ、ポイントサービスが劇的な経営効果を生むことがあるという。

「例えば、全国に顧客を抱えるあるメーカーの事例です。昨今の人手不足で、企業はかつてのように営業マンを各地に配置し、足で稼ぐ対面営業を維持することが難しくなっています。そこで提案したのが、ポイントを活用した『BtoBの会員制システム』の構築でした」

企業の購買・発注担当者に会員になってもらい、専用のWebサイトから注文すればポイントが貯まる仕組みを作った。

「企業間取引では電話やFAXでの注文が根強く残っていたのですが、それを楽天やAmazonのようなWebシステムに寄せていったのです。発注担当者にとっては『ポイントが貯まる』という明確なメリットがあるため、スムーズに移行が進みます。これにより、受注側は大幅な人件費削減を実現できました」 

しかも彼女の仕掛けは単なる「受注のデジタル化」やコストカットでは終わらなかった。

「Webシステム上で、定期的にアンケートを取ったのです。例えば『今後半年や1年の間に、こういうニーズはありますか?』とか。昔なら営業さんが足を運び『御用聞き』として対話の中で引き出していた情報を、Webに置き換えたのです。すると、普通なら面倒で答えてもらえないアンケートも、『回答すればポイントが貯まる』と、驚くほど回答率が上がりました」 

この顧客のリアルな声が宝の山だった。データに基づいて先回りした営業提案が可能になるだけでなく、工場の製造ラインにおける精緻な需要予測や、新たな商品開発のヒントにまで結び付いていったのだ。すなわち、ポイントという「おまけ」をフックに、企業は顧客のコミュニケーションをデジタル化し、ビジネスモデルそのものを強固にアップデートしていった、ということになる。

 TV東京「ガイアの夜明け」にも登場。筆者は先を越されてちょっとくやしい。
https://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview090825.html

「お得感」を「特別感」へ。精神的インセンティブの重要性

もちろん、こうした深いエンゲージメント(結びつき)の構築は、BtoC(消費者向け)の領域でも威力を発揮する。

岡田氏は、多くのBtoC企業が陥っている「ポイント=単なる割引」という思考停止を危惧している。顧客がそのブランドや店を本当に好きになり、ファンとして定着する「スイッチ」は、決して割引額の多寡ではないからだ。

「実を言うと、ある一定のラインを超えた優良顧客に対しては、金銭的な還元から『精神的なインセンティブ』へと切り替えていく必要があります。例えば、貯まったポイントをお金では買えない体験や、その層だけの特別な交換特典に換えられるようにするのです。単なる値引きではなく、『自分は大切にされている』というプレミアム感や特別扱いを提供することで、お客様の心理は『お得だから行く』から『この店が好きだから行く』へと劇的に変化します」

さらに岡田氏は、航空会社の「生涯マイル」を例に、顧客との一生の繋がりを可視化する重要性を説く。

「通常のポイントは使えば消えてしまいますが、その企業と歩んできた歴史そのものを『生涯ポイント』として表彰するような仕組みが非常に有効なのです。たとえ一時的に足が遠のく時期があっても、自分がそのブランドを愛用してきた証拠が残っていれば、関係は切れません。また、熱量の高いファンを『アンバサダー』として認定し、その良さを周囲に広めてもらうなど、ポイントサービスを通じてファンを企業のパートナーへと昇華させていく設計も可能です」

岡田氏自身は、「自分はポイントオタクではない」と笑う。むしろ、ポイントをつけられることを忘れてしまうことすらある一般消費者としての感覚を大切にしている。

「ただ、素晴らしい企業なのにポイントサービスがうまく機能していないのを見ると、『これ、もったいない。宝の持ち腐れかも』と切なくなってしまうんです。
 人は企業を人格として捉えます。だからこそポイントサービスも、その企業独自の『人格』を持ったサービスへと生まれ変わらせてあげると、それは飛躍のきっかけに変わります」

ポイントは「値引きの道具」でなく、顧客の心を満たし、企業のブランドを体現するコミュニケーションツールだったのだ。岡田氏は「まず呼んで頂けば、無料でポイントシステムの診断や、ざっくりした提案をしますよ」と話す。より精神的に豊かなポイントサービスへ、貴社もアップデートするのはどうか。

実際はこんな感じでめっちゃ詳しく分析するそうです。
https://www.emscom.co.jp/5913/1-1

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