ホテルや旅館の大浴場、食品工場、オフィスのエアコンなど、法人施設における「カビ対策」は経営の大きな課題だ。カビやエフロ(白華現象)による汚れで数百万円の設備リニューアル(改修)を検討する前に知っておきたいのが、「日本防カビセンター」による根本的なカビの根絶技術。表面的な清掃業者とは一線を画す独自の防カビコーティング技術と、「防カビコーティングを施せば、ユニットバス1室あたり2万5000円から3万円、事務所や大浴場などの広い空間でも平米あたり5000円~8000円程度」というコスト削減効果を、渡壁光季社長に取材した。
表面の漂白は逆効果!? 放置すれば建物の劣化や健康被害を招くカビの脅威
日本のカビに対する防御は、驚くほど「適当」だ。温泉の天井や古い建物の壁紙に黒ずみを見る機会は多いし、宿泊施設の冷房からどことなくカビの臭いがすることもある。その点筆者は自宅の風呂にカビが生えたら即・100円ショップのアルカリ性洗剤でやっつけるから完璧――と思いきや、日本防カビセンター株式会社の渡壁光季社長いわく、これも間違いらしい。
「カビは目に見えないところに潜んでいます。お客様の中には『コストを落としたいから見える部分だけ対処してくれればいい』とおっしゃる方も多いのですが、一部にカビが見えたら胞子は既に広がっていて、表面だけを漂白してもまた広がって、むしろ清掃コストは高くなってしまうのです」
壁紙に生えるカビは単なる表面の汚れではない。カビは素材の微細な隙間や孔(あな)に菌糸と呼ばれる「根」を深く張り巡らせている。例えば壁紙に黒ずみが見えた場合、下地の石膏ボードやコンクリートに大量の菌が繁殖し、壁紙の裏側から表へ浸食してきているケースが多い。そのため、表面だけを市販の洗剤で漂白しても、奥深くに生き残った菌糸(根)がすぐに成長を始め、あっという間に再発してしまう。
「お風呂も同じで、見えない部分が深刻です。換気扇の裏側やダクトの内部にホコリがモフモフに溜まって、カビの温床になっていることが多いのです。温かく湿った空気が流れ込むダクトは、カビにとって最高の住処で、ここからカビは空気中に胞子を出し続けています」
このカビの胞子は新たなカビを生み出すだけでなく、人体への悪影響も科学的に裏付けられている。カビが産生する「マイコトキシン」と呼ばれる化学物質は「カビ毒」とも呼ばれる有毒物質で、体内に蓄積すると喘息やアレルギーの原因となる。中でもコウジカビの一部などが作り出す「アフラトキシン」というカビ毒は、天然物質の中で最も強力な発がん性を持つことが国際的にも広く知られている。
「そこで私たちは、カビの根絶を目指して事業を行っています。日本は諸外国に比べ、湿度が高くカビが生えやすいのに、その対策は十分とは言えません。ここを変えていくのが私たちの使命です」

探究心が生んだ「カビ根絶×防カビコーティング」の独自技術
渡壁氏の経歴は異色だ。元々は航空会社の客室乗務員。その後、100円ショップで販売している商品のメーカーに転職し、掃除に関する商品の企画に携わった。
「そこで防カビに関連する商品を企画すると、面白いことに気づいたのです。『カビを除去する商品』はよく売れるのに、『カビを防ぐ(防御する)商品』はあまり売れませんでした。皆、カビが出てこないとヤバいと思わず、とれたら『もういいや』と思ってしまう傾向があるのだと気づいたのです」
そんな頃、ある企業の社長と話が合った。元銀行の支店長が、カビに特化した技術を持つ薬剤メーカーや塗料メーカーとの繋がりがあって防カビ事業を立ち上げていたのだ。渡壁氏はこの「防カビ」という未開拓の市場を面白いと感じて事業に参画する。根本に問題意識がある人物は強かった。彼女は現場に入り続け、技術を磨いてきた。
「元々、様々な薬剤メーカーさんと繋がりはあったのですが、現場では様々な工夫が必要だったのです。例えば、壁面やパッキンなど液垂れを防ぐべき場所には『増粘タイプ』の薬剤を用い、清掃後すぐにお客様を入れたいホテルの客室では、威力を調整した『低臭タイプ』を使う必要があります。さらに、浴室にはカビだけでなく皮脂汚れやスケール(水垢)が混在しています。この場合はアルカリ性のカビ取り剤から、酸性や塩酸系の洗剤へと的確に切り替えて汚れを落としきる必要があります」
その後、創業者が会長に、渡壁氏が社長に、というツートップ体制になり会社を牽引することになった。しかし彼女の探究心はやまなかった。自ら研究者やOEMメーカーの担当者と議論を重ね、これまで世の中に少なかった「カビに特化した専用薬剤」を共同開発、薬剤をカビの根っこまで浸透させて死滅させた上で、TPOに合わせ、建材の質感を残すコーティングや、ツヤを出して素材を復元させるガラスコーティングを施す。
渡壁氏は「元々、カビに強い興味があったわけではないんです」と笑うが、目の前の汚れと向き合い、「なぜ」「どうすれば?」と疑問を持ち、そのたびに解決策を求めてきた。そのひたむきな探究心はいつしか彼女をトップレベルの専門家へと押し上げていった。

結晶化して固まった「スケール」がたまった様子。これも対策すればピカピカ。
ホテルや大浴場のリニューアル・改修費用を削減!カビ根絶は究極のコストダウン
こうした同社の確かな技術は、現在、多くの企業から引っ張りだこになっている。
「最大の顧客層は、ホテルや旅館などの宿泊施設です。大浴場やユニットバスは温泉の成分や蒸気で汚れが溜まりやすく、カビの温床になりやすい。続いて、食品工場や倉庫会社からの依頼も多いですね」
企業にとってカビは見栄えの問題ではない。食品工場では外部業者の衛生点検で評価が下がる原因となり、ホテルでは「カビが生えていて気持ち悪い」といったネット上のクレームに直結する。だが、日本防カビセンターが経営者たちから熱烈に支持される最大の理由は、圧倒的な「コスト削減効果」にある。
「浴室などにエフロ(白華現象)やスケール(水垢)、そしてカビがひどく発生した時、設備のリニューアル(改修)を考えるお客様が非常に多いのです。その際、ホテルのユニットバスを1室丸ごとリニューアルしたら100万円以上の費用がかかります。一方、私たちの技術で素材をすべて『新品級』に綺麗に復元し、防カビコーティングを施せば、ユニットバス1室あたり2万5000円から3万円で済みます。事務所や大浴場などの広い空間でも、平米あたり5000円~8000円程度です」

https://jamcenter.co.jp/
数百万円の設備投資が、数万円の維持費に変わるのだから財務的インパクトは大きい。しかもいったん「根絶」すれば、定期的に清掃業者へ依頼していた高額なカビ清掃の回数を劇的に減らせる。
現在、同社は全国対応で施工を行っており、業績も順調に拡大、会長は将来の株式公開(IPO)も見据えているというが、現場を愛する渡壁氏の視座は、常にお客様への価値提供に向けられているようだ。
「実はほかにも、多くの場所がカビに侵食されています。例えば、お風呂に次いで依頼が多いのが、コンクリートのカビ。硬い素材だから関係ないと思われがちですが、建物の内側の打ちっ放しでも、外側のコンクリートでも、結露しやすいため意外とカビの温床になりやすいのです。あとは、天井裏や壁の間。漏水、湿気が溜まってカビが生える場合が多く、私たちは壁を剥がしてコンクリート部分まで戻り、防カビしてから内装をやり直す大掛かりな依頼もこなします。あとは飲食店。油と埃を養分にしてカビが繁殖するケースが非常に多いんです。さらには~」
渡壁氏の探究心は止まりそうにない。見えないカビの防止は、日本の新たなインフラになるだろうか。それは彼女の頑張りにかかっていると感じた。
